泪色



目を閉じた。
鋭い目で見られると心が鈍ってしまうから。

口を開いた。
あなたの低い声が届くより先に。
声が凍ってしまわぬように。

目を開けた。
強い目で見つめられても瞳は乾いたままで。

口を寄せる。
舌が乾ききってしまうより前に。
あなたの温かい肌を忘れぬように。



こんなにも冷めた世界の中で、わたしは生きてゆける。

広い広い心で、愛してくれたあなた。



さようなら、空の果てを教えてくれたひと。






メルマガVol.137掲載(2005年10月14日発行)
別れ。


// written by K_