羽根 僕を置いてあの人は高く高く 高く昇ってしまう 君を置いて僕は深く深く 深く沈んでゆく 触れるとひやりと冷たいからだは まだ確かな感触を残しているのに 僕を連れていって 僕を置いていかないで どこまでも連れていって 一人になどしないで 胸の奥が凍りつくことを絶望と言うのなら 君を失うことが僕のそれ だから僕を連れていって 僕を置いていかないで 君を置いて沈む僕の手を どうか繋ぎとめて欲しい (その笑顔が、胸の奥で凍ってしまって、いつまでも溶けそうにない) 君が笑ってくれるなら 僕は闇の淵へ沈みもしよう 僕の傍に在るのなら 君を引き止めたりはしない けれど君は僕を連れていってはくれなかったから 僕を残して高く高く、高く昇ってしまった 僕は深い闇の淵へと (またいつか、君の笑顔に出逢えたら) 胸の奥が凍りつくことを絶望と呼ぶのなら もう僕には何も残されていない 溶けない笑顔に縋るしか 僕には残されていないんだ ―僕はただ、君の羽根になりたかった― メルマガVol.143掲載(2006年4月12日発行) 若い・・・です・・・。 // written by K_ |